会社のため、社員のため、部長たちと社長が本気で対峙した日に、組織はようやく血が通い出した。

株式会社中部シイアイシイ研究所

代表取締役

山口 弘修 様

それは、初めて新卒を採用したときのことだった。本配属を前に、新人たちを様々なセクションで体験的研修を実施するのは一般的なトレーニングプログラムでもある。
当然、どの部署でも初めての新卒者だからと、一所懸命自分たちの仕事を見てもらう機会として、さぞかし盛り上がっていただろうと社長の山口氏は考えていた。いよいよ本格的に始動というタイミングに、研修の感想をとヒアリングをかけたとき、その考えは甘かったと知った。新人たちは心躍らせるどころか表情を曇らせていた。

「どこに行っても、プライベートなことばかり尋ねられるだけで…」。

新人2人は口を揃えて言った。現場にも確認を取ってみた。そのとき想像もしていなかった言葉が返ってきた。

「自分たちも教えてもらっていないのに、どう育成するのかわかるはずがない」「どうせウチの部署には配属されないんでしょ?」と。
結果、新人たちを暖かく迎えるどころか、仕事を教えるわけでもなく、ただ言われたから迎え入れただけという感覚でしか受け止めてくれていなかった。自分たちの会社なのに、自分たちの仲間なのに、まるで他人事としか捉えられていない組織に、山口社長は自分自身の認識のずれと焦りを覚えた。
他責ではなく自責として捉えられる組織にする。そのとき、弊社の田邊と小林がこの問題と対峙することになった。
まず行ったのは、幹部を対象にしたライフウェイク®️合宿の実施。社長の山口氏はオブザーバーとして合宿に参加し、幹部たちのパーソナルな歴史・バックボーンを初めて知った。

『これまでの幹部たち各々の考え方や発言に、これまでの人生がこれほど大きく関わっているのか』を知り、幹部たちもまた、自分たちの過去を棚卸すことによって自分自身の真の姿を改めて知ることになった。幹部たちは互いを知ったことで、少しずつ組織も変化が見られるようになった。他人事から自分事に問題を考えられるようになり、そのためにアクションが起きるまでに変化してきた。けれどそれが予想だにできない方向で形に現れることになった。
ある日、幹部である部長たちが社長室に顔を揃えた。その表情は引き攣るくらい強張っていた。手には書類が握られ、まるで訴状を突きつけられるように手渡された。中身はすべて社長の山口氏に向けられた内容だった。要望書なのか嘆願書なのか、それとも社長の辞任要求書なのか。一度書類を預かる形でその場は収めた。自宅に戻り、書類に書かれたひとつ一つの項目に目を通した。あまりの辛辣な内容に思わずカッと熱くなるものもあったが、何とか最後まで目を通した。

翌週、部長たちと改めて対峙した。そのときに山口氏は思う限りのことを彼らに伝えた。もちろん社長として至らない部分はある。けれどそれは部長たちを信頼し、社長の自分に遠慮することなく各々に判断し、改善できるとことは変えていってほしいと強く言葉にした。そして部長たちは言った。『任されたと思ったことは一度もありません』と。あまりにも想定外の言葉に返す言葉も見つけられなかった。けれど、ただひとつだけ想いは繋がっていると感じられる部分があった。それは要望のすべてが、会社のため、頑張る社員たちのためのものだったことだった。山口氏にとって、それが何よりもの救いとなった。

この事象を知った田邊は、すぐに経営参加型の組織への再編を提言した。単に経営陣を陥れるのなら立て直しは難しいが、部長たちには覚悟を決めるほどの信念がある。そこで、部長たちを執行役員として社長と共に経営に参画してもらうというプランだった。共に社内で抱える課題と向き合い、ソリューションしていく。そのために山口社長、執行役員となった部長、そして田邊とで経営の目線合わせのための合宿を実施。効果は覿面だった。情報伝達も指示命令系統も想いも悩みもようやく血が通い出していく組織へと変わり始めていった。

「ライフウェイク®️によって、彼らの現在を形成しているパーソナリティのバックボーンを知ったからこそ、言葉や行動のその向こう側にある真の想いというものが理解できるようになったと思うんです。だから自らの言動も見直さなければならないし、どう伝えるべきかという工夫にも目を配れるようになったと思います」。

部長たちからの声に蓋をしてしまうという選択肢もあったはず。けれど、山口氏は蓋をすることなく、課題を解決することで前に進むことができた。
そして今、また新たな課題に直面している。それはそろそろ勇退を迎える執行役員の後任人事。

「一難去ってまた一難。再び岐路に立つことになるんですが、どういう選択をすべきか、悩みに悩んでいますね」。

またまた田邊のライフウェイク®️以外の出番が訪れる予感がする。

企業情報

  • 株式会社中部シイアイシイ研究所
  • 本社・豊川工場(〒441-0301 愛知県豊川市御津町上佐脇大郡23)
  • 三重事業所・亀山工場(〒519-0166 三重県亀山市布気町618-2)
  • 代表者 : 代表取締役 山口 弘修
  • 事業内容 : クリーンルーム用衣服の特殊クリーニング(ブランド名CIC)、ウェハーキャリアやパーツ類等の精密洗浄(ブランド名SCC)、クリーンルーム関連商品販売 ◎ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)
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